2018 年 9 月 1 日、2 日の両日、長良川国際会議場で和漢医薬学会学術大会が開催されました。
岐阜は、私の若かりし頃、研究の根幹を教えて頂いた故江田照英先生 (岐阜薬科大学薬理学教室の初代教授) の地で、久しぶりの訪問でした。和漢薬研究の黎明期に、研究の方向性の舵取りをして頂いた素晴らしい先生で、今日の私の研究者としての礎を教えて頂いた先生でもあります。
台風の影響もあって心配されましたが、予定通り血管力研究所のメンバー、そして韓国より国立釜慶大学の Prof. Choi、農村振興庁国立園芸科学院の Dr. Park と Dr Kim が、岐阜に参集してくれました。学会の前日は、長良川の鵜飼い見物もあって、国際色豊かな交流会でした。
発表は、下記に示した 3 演題ですが、3 番目の演題では、冠元顆粒に BACE1 と GSK-3β の阻害活性を示すデータを提示しました。これら 2 つの酵素は、アルツハイマー病の原因物質のアミロイドβの産生、そして神経原線維変化、神経細胞死に関与する酵素で、このような作用が生薬ならびに生薬製剤で見つかったのは初めてであります。原著論文の作成、そして特許の申請の準備に取りかかっております。
① 朴 鑽欽, 東海林 正弘, 小山内 信, 小栗 延子, 手嶋 敏子, 乾 マリコ, 秋本 佳媛, 張 立也, 横澤 隆子: 加齢による腎傷害に対する冠元顆粒、丹参、magnesium lithospermate B の作用
② 朴 鑽欽, Kim Min Jo, 尾崎 公美, Kim Dong Hwi, 申 有秀, 横澤 隆子: シスプラチン腎症における枸杞子の作用
③ Choi J.S., Park C.H., Yokozawa T., Jung H.A.: Kangen-karyu and its components as BACE1 and GSK-3β inhibitors