長かった冬もようやく春めいてきた 3 月下旬、北陸の金沢で日本薬学会第138 年会が開催されたが、前日の 26 日、冠元富山会のメンバーが富山のマンテンホテルで勉強会を開催した。

横澤が講師となって、冠元顆粒の最新情報をレクチャーした。内容はアルツハイマー型認知症や血管性障害に伴う認知症に、冠元顆粒が有効である知見を紹介した。

学習・記憶障害を示す老化促進モデルマウスに、冠元顆粒を経口投与した群では、物体認識試験や位置認識試験、水迷路試験で改善作用を示し、またアルツハイマー病の原因物質のアミロイドβ産生に関与している BACE1 (βセクレターゼとも呼ばれるタンパク質分解酵素で、アミロイド-β前駆タンパク質を切断して、アミロイドβを生じさせる) を、冠元顆粒が阻害する知見を提示した。

引き続き、日本中医薬研究会会員で高岡在住の荒川恵美子さんも加わり、懇親会を割烹扇で行ない、今が旬のホタルイカのフルコースを堪能した。

翌朝、北陸新幹線で金沢に移動したが、約 20 分と束の間の乗車であった。学会会場は金沢駅近辺の施設を利用して行われ、日本薬学会は規模が大きく、いつも移動に苦労していたが、今回は非常に便利であった。

学会では、冠元富山会のメンバーが中心となった発表で、演題は「終末糖化産物 (AGEs) に及ぼす冠元顆粒の作用」であった。

疾病の成り立ちに大きな役割を担っている AGEs 関連因子に及ぼす冠元顆粒の作用について、2 型糖尿病モデルの db/db マウスを用い検討した成果である。

2 型糖尿病モデルの db/db マウスで増加した肝・腎組織中の AGEs の受容体、カルボキシルエチルリジン、カルボキシルメチルリジン、GA-ピリジンが冠元顆粒投与群でいずれも抑制し、血清中のグルコース、レプチン、活性酸素種、ALT、AST、クレアチニン、尿素窒素が低下していた。

このことは、冠元顆粒が 2 型糖尿病の終末糖化産物に作用して、肝と腎機能に好影響を及ぼしていることを証明し、終末糖化産物の異常が関与する疾患の素材としての可能性が示唆された。AGEs が引き金となって生じる疾患の治療研究が皆無の状態に、一石を投じた成績であり、詳細については「気と血のめぐり本格漢方2018」(週刊朝日 MOOK、2018 年 3 月発行) を参照されたい。写真は、懇親会会場前と日本薬学会会場での集合写真です。