尿毒症患者の血清には、健常者の血清には微量しか存在しない化合物が異常に増加して、生体に有害な作用を示すが、これまで腎機能と強い相関性を有する化合物として、臨床サイドでは尿素窒素やクレアチニンが挙げられている。

しかし、我々は腎不全の進行とともに著しく増加し、かつ代謝障害や酵素障害、腎機能障害などの毒性を有する物質として、メチルグアニジンに注目し検討してきた。

メチルグアニジンは、腎不全状態では腎からの排泄機能低下によって、生体内濃度が増加するばかりでなく、産生亢進によってもたらされることを究明し、メチルグアニジンの産生経路として、クレアチニンがフリーラジカルの中でも寿命が極めて短く、反応性が極めて強いヒドロキシラジカル (・OH) によって産生される新しい経路を証明した(下図参照)。

さらに治療研究として、温脾湯(大黄、附子、薬用人参、乾姜、甘草からなる漢方方剤)大黄epicatechin 3-O-gallate緑茶ポリフェノールが、メチルグアニジンを含めた尿毒症毒素を軽減する作用を有することを実験的臨床的に明らかにした。

詳細については、最近出版の「腎と透析」(83巻別冊, 29~34頁, 東京医学社) の依頼総説に記している。